情報満載だが、やや散漫 インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
日本人は本書で扱われている分野の仕事が苦手だと思う。
本書で何人かの優れた「インテリジェンス・オフィサー」の功績を見ると、日本にも戦前はこの分野にもそれなりに傑出した人物がいたんだなと感心させられるが、やはり欧米や中国に比較すると格下の感は否めない。
だいたい忍者からしてアウト・カースト出の人物が多かったと八切止夫の本で読んだことがある。なにか穢い仕事として敬遠されがちなのだ。しかし日本を第二次大戦に引きずり込んだ朝日新聞の尾崎秀実の例を見れば分かるように、国家の死命を制する重大な仕事でもある。
それにしてもゾルゲの「プライオリティー」がドイツにあった、とは意外だった。もし本当なら昭和史は一層、混沌としてしまう。この件についてもっと詳しく教えて欲しかった。杉原千畝についても不親切な説明だ。話題が多岐にわたりすぎて、一つ一つの説明が散漫なのだ。
ところで本邦未訳の「ミトローヒン文書」にハニートラップに引っかかり、極秘情報をロシアに流していた「ミーシャ」という日本人外交官が出てくる。愛称が「ミーシャ」で、佐藤の愛称と同じだ。時代的に佐藤とはほんの少しズレているようなので別人だろう。外務省の幹部クラスとしか思えないが、一体誰なのか。
インテリジェンスのDNA インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
生の情報では玉石混交であり、そのインフォメーションを分析したインテリジェンスこそが、重要である。
外交やジャーナリズムの場のみならず、ビジネスや日常生活の中でも、インテリジェンスは戦いに不可欠な武器になり得るのである。
気になったのが、インテリジェンスが「エストニア人は洋服の仕立てがうまいとか、エストニア人の料理に関する習慣とか、そんなことを細かく研究している」ということ。インテリジェンスは偽装の職業を2つ持つそうですが、民俗学者や文化人類学者として十分に食っていけますね。むしろ、かつての文化人類学者たちの中には、インテリジェンスがいたかもしれない。そんな想像も面白いです。
驚いたのが、ハルピン学院がかつては優れたインテリジェンス・スクールだったということ。ハルピン学院のDNAを受け継ぐ自分としては、負けてられない(?)ですね。
読んでて熱くなる1冊です。
NHKのワシントン特派員だった手嶋龍一との名人芸的対談。 インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
佐藤優という人は、いろんな相貌/魅力を持っているが、今の所、いちばん読者をひきつけるテーマは、やはり「外交」に関わる部分なのではないだろうか?
そういう意味では、本書は、佐藤優と(おそらく)同じ土俵でがっぷり四つに組める対談相手が用意されていて、読者は「国家の罠」などに近いレベルで、佐藤優ワールドを堪能できる仕掛けになっている。
二人の丁々発止のやりとりもおもしろく、結構ヤバメの内容にもかかわらず、読者は肩肘張らず、楽しめる。
対談ではあるが、佐藤優の恐るべき頭脳によって、彼の発言部分は、かなり精緻な論理構造を保っているので、そのプロセスを吟味するだけでも、十分教養を得られる。
単なるエンタテインメント書ではないのだ、念のため。
処世術の教科書 インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
どこまで国家のことを考え、どこまで自分のことを考えるか、そしてどこまで国家の立場で物を言うか、どこまで個人の立場で物を言うか。本書はそのあたりをうまぁくぼかしながらあくまでも自分に有利なように読者を操作していく。処世術の教科書としてもオススメ。
結局は信頼? インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
インテリジェンスときいて難しく感じていた。
両者はインテリジェンスの専門家だが、
本質として「情報源を守ること」など
人間としての基本が重要だと言っていた。
結局は信頼性が大事だと感じた。