悪くは無いんだけど ターンエーガンダム〈上〉 (ハルキ・ノベルス)
アニメのターンエーガンダムは今までのガンダムと違い、戦争物なのに殺伐した所が無い所が好きだったんですが、この小説では割と人が生々しくお亡くなりなる描写や、登場人物の内面描写もダークな方(特にキエルとか)に踏み込んでいるので、あんまり癒されません。ただ設定描写はしっかりしているので、アニメ見た人でも十分楽しめるかと思います。
しかし、上巻はまだしも、下巻(特にラストの方)はアニメと随分違うのであんまりだと思う人もいるかもしれません。
富野案+福井エッセンス的な ターンエーガンダム〈上〉 (ハルキ・ノベルス)
私はアニメを見てからこの小説を読みました。
小説版はアニメとはストーリーが違いましたが、
私は別物の作品と考えて読んだので、気になることもなくとても面白かったです。
Vガンダムまでの富野作品を思い出させます。
『ニュータイプ100%コレクション41 ∀ガンダムVol.2』(角川書店)のなかに掲載されていますが、
この小説は富野監督のストーリーメモを下敷きにして書かれています。
アニメ版もこの小説も同じ「∀ガンダム」ですが、
一方は監督とスタッフとの、もう一方は監督と福井氏との係わり合いの中で生まれた別々の物語です。
アニメを見てからこの小説を読む方は、
それを念頭において読んだ方が読みやすいのではないかと思います。
アニメは20年後でよかった ターンエーガンダム〈上〉 (ハルキ・ノベルス)
アニメを最初に見てどういう結末になるんだろう、こうなってしまったら嫌だなと思っていた通りに書いてあるという小説です。
ある程度考えられる方向性であるということは、この小説の方がリアルということでもあります。各々の人物が掘り下げられ、背景も丁寧に書いてあります。しかし、丁寧すぎて想像力を働かせる隙間はないかもしれません。
(といってもZの小説はさっぱり意味わかんなかったことも思い出しました。想像力以前の問題という気がしますが。)
繰り返すようですが、この結末は見たくなかったです。オールドファンには黒歴史はほっといても繰り返すだけで、解決策はニュータイプが増えること=人の刷新というこちらの話が慣れ親しんだものであるのかもしれませんね。
Zから見始めすっかり「ガンダム=すっきりしない話」「ニュータイプ=普通の生活は送れない殺戮者(だからこの概念嫌い)」と思ってきた私には、Wの次に新鮮で、ファンタジーと言われようと、ニュータイプなんぞ出さずに何とか折り合いのつけられたアニメ版に一票です。
福井ファンの大人にも ターンエーガンダム〈上〉 (ハルキ・ノベルス)
『亡国のイージス』や『終戦のローレライ』を読んだ後に、福井晴敏のファンになり、勢いで本書も読みました。
「ターンエー」のアニメ版は見たことがなく、ガンダムといえば、アムロくんのガンダムしか知らない僕でも本作品は十分楽しめました。
月に住み、破壊された地球が癒されるまでの2000年間、地球への帰還を待ち続けた民「ムーンレイス」の姿は、聖地エルサレムにイスラエル建国を行ったユダヤ人の姿に重なります。そこで必然的に起こる、もとの住民との衝突の過酷さもまた同様です。
全く異なる文化的背景を持った民族は分かり合えるのか?人はなぜ戦争を行うのか?文明の行き着くところはどこなのか?
近代戦争における大量破壊兵器の恐怖、国家の仮面をまとった個人のエゴ、人間の狡さ、愚かさ、そしてやさしさ。
福井作品と富野さんの共通のモチーフである「戦争」「人間の強さと弱さ」「破壊と再生」「絶望と希望」が、存分に描かれています。
ガンダムファンのみならず、大人の福井ファンにもおすすめです。
ダーク・サイド・オブ・ザ・∀ガンダム ターンエーガンダム〈上〉 (ハルキ・ノベルス)
ある意味ハッピーエンドにまとめたアニメ版とほぼ同じ舞台を使いながら、これほどまでも異なる結末。
∀では舞台(地球と月)をはじめ、さまざまな「対」を成すモチーフを散りばめることで世界の、未来の広がりを描こうとしているように感じます。そういう意味ではこの小説版も「すべてを含む」中に有り得たかもしれない、もうひとつの物語として読む価値はあります。
ただし、一オールドファンとしては、もし20年前に冨野監督がこの舞台を手にしていたらこんな話になったんじゃないかなぁ、という気はするので、星1つ減点(笑)