ナンシーさんの他の膨大なテレビコラム同様、多くはテレビにまつわる話ですが、この「ボン研」はナンシーさんの著書の中でも、唯一ナンシーさん自身に視線が向けられたものと思います。
“名付け親”いとうせいこう氏からの質問集、自身の作品レビュー、少しだけナンシーさんの写真(消しゴム版画でなく)も。石野卓球氏との対談では両氏のテレビ鑑賞のルーツが垣間見えて、満足の内容。
残念ながらもう更新されることはありませんが、「ボン研」はまだ開いています。
「でも、改めてこう考えてみるとイヤなものを自分からすすんで見て、どうイヤか何故イヤかを書くのが仕事なんであるな、私は。内省すればいろいろ考えないでもないが、ま、結構おもしろくもあるんだけど。」
―――(本書P.26〜27より)
山吹色というかマスタードイエローというか、そんな鮮やかな色の表紙がついつい手にとらせ、そしてついつい買わせた、そんなこの1冊。同名のナンシー公式HPに残されたコラムと、『月刊カドカワ』などに掲載されたいくつかの記事の再録によって構成されたものであって、まぁお手軽な編集といえばそうかもしれないのだが、表紙を開けてすぐのカラー口絵(アーカイヴとして残され、現在も訪れることができる『ボン研究所』HP紹介と、消しゴム版画原版コレクション。こんなにタモリを彫っていた…)、ところどころに挿入された、自室で撮影されたと思しきナンシーのポートレート(好きだった母方の叔母−やはり故人−に似てて、なんか胸がつまった…)などに、やはりこう、担当編集者の「愛」を感じてしまった。
ナンシーがいなくなった後、大小(おもに大)さまざまな本が出ている中で、これはなんとなく愛しくて、手許にそっと置いておきたい……、そんな気持ちにさせる、キュートでコンパクトなファンブックである(一見、生前のナンシーその人には似つかわしくない小ささかもしれないけど)。