円紫さんシリーズでは最高傑作 六の宮の姫君 (創元推理文庫)
芥川の「六の宮の姫君」についての解釈の仕方が斬新だった。こんな読み方もあるのか、という本当に新鮮な驚き。読書好きの「私」を主人公にした設定が最高に生かされていて、読んだ後はしばらく呆然とした。で、芥川はほとんど読んでいるが、なぜか菊池寛は読んでいないという、目をそらし続けいてた厄介な事実を、改めて突きつけられたんだよね。実は、いまだに目をそらし続けている。何だか踏み込んではいけない領域のような気がするんだなー、何でだろう。
本好きな人必見!異色のミステリー♪ 六の宮の姫君 (創元推理文庫)
殺人事件など起こらない。探偵も刑事も登場しない。だが、この作品は
立派なミステリーだ。ただし、異色中の異色だが。「六の宮の姫君」の
作品に対して遺した芥川の言葉の真意は何か?交友関係のあった菊池寛
らの作品や書簡、日記などから探られる真実。さまざまな資料が読まれ、
検討され、芥川が関わりを持った人たちが浮かび上がってくる。その数々の
事実は、本好きの人たちの心を間違いなくワクワクさせることだろう。
同時に、作者の緻密な調査やその推理力に驚かされることだろう。本を
好きな人にはぜひ一度は読んでもらいたい。文学の持つ魅力をあらためて
感じることができる作品だった。
菊池寛が読みたくなる。 六の宮の姫君 (創元推理文庫)
円紫師匠と私が出てくるシリーズの4作目。今回の謎解きは芥川龍之介作「六の宮の姫君」をめぐる「玉突き」「キャッチボール」という発言から始まった。
少ないヒントから芥川の友人菊池の作品や手紙、はたまた同時期の作家たちの言葉を次々読んでは核心に迫っていく。途中、自分は一体何を読んでいるのか判らなくなるほど、文学の話が続く。これはもう、芥川、菊池のファン、文学ファンには面白くてたまらない一冊。
ただ作家の作品を読むだけでなく、その時代の作家同士の繋がりや全集の編集者による違いなどなど。文学の別の楽しみも教えてくれる一冊だと思う。
すばらしい、書誌学ミステリ 六の宮の姫君 (創元推理文庫)
芥川龍之介が自作『六の宮の姫君』をさして「あれは玉突きだね・・・いや、というよりはキャッチボールだ」と表現した言葉の謎を巡るミステリーです。 どういう経緯で生まれた作品なのか、誰とのキャッチボールだったのか、「私」がその謎を追って、奔走します。
恥ずかしながら、芥川の作品というのをきちんと読んだことがありませんでした。だから、彼の生い立ちやらバックグラウンド、自殺に至る経緯なども全く知りませんでした。それでも、全く退屈せずに作品全体を楽しめました。これはひとえに、作者に筆力によるものでしょう。知らない人間でもこれだけ楽しめるのですから、芥川に慣れ親しんでいる方なら、なおさらおもしろいでしょうね。
人が死ぬわけでもなく、犯罪者が出てくるわけでもない、だけど立派なミステリー。基本的には、古本屋や図書館で古い本やら雑誌やらを調べる、これだけの行為の中からこんなにすばらしい「推理」を組み立て、一つの作品に仕上げてしまう、北村薫という人はすごい人だと改めて思いました。こんな”知的な”ミステリー、なかなか今の日本になかなかないでしょう。
これを読んだおかげで、芥川のみならず、菊池寛など、同時代の作家の作品も手当り次第に読んでみたくなりました。
文学の向こう側を覗く 六の宮の姫君 (創元推理文庫)
芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞の謎に迫るミステリー。
というと、「ダヴィンチコード」のような謎解きを想像しますが、本書は、そうした派手な展開とは無縁です。しかし、面白くない訳ではありません。むしろ、非常に面白い!知的好奇心をくすぐられます。
謎解きに使われるのは、図書館に行けば見つけられそうな本ばかり。そこにちりばめられたヒントから、近代文学の巨匠たちの心理に迫っていくのは、純粋な学問的な興味をそそります。
本来学術的な論文になるような内容を、独特の透き通るような文体でエンターテイメントに仕上げてしまう、北村さんの筆力に脱帽です。
血なまぐさい殺人事件や、鮮やかなトリックもいいですが、本書を読めば日常の中にミステリーの種はいっぱいあることが分かります。
ミステリーの枠を拡げる作品。近代文学に興味がある方はもちろん、基礎知識が中学校の教科書程度でも十分楽しめます。おすすめ。