穏健で公平 兵隊たちの陸軍史 (新潮文庫)
冒頭で「穏健で公平」な立場を心がけたとあるように戦争に対してイデオロギーを極力排して実際の軍隊がどのような生活を送っていたかということが書かれてあります。
兵隊たちは天皇のために戦ったのではなく「お国のため」の戦ったということ
内務の私的制裁よりむしろ戦場の方が開放感があった
など、何となく心情がわかるような気がしました。
中国に軍隊が駐留していたこと自体、現在の感覚からすれば奇異な感じですが歴史の連続性の中でこのような時代があったことを忘れてはならないと思いました。
「兵隊」というリアリティ 兵隊たちの陸軍史 (新潮文庫)
「戦後」も63年目となり、「戦前」はひたすら遠くなるばかりである。
戦前の日本人にとっては、常識であった「兵隊という存在」について、私たちはまったくイメージを持てなくなっている。かつては日本人男性が生涯に必ず一度は経験した兵営の暮らしも、歴史の霞の彼方に消えてしまっている。
本書は、「兵隊」という存在のリアリティを具体的かつ詳細に記述したものだ。
筆者にとってはただひたすら現実でしかない事どもの1つ1つが、実に異様で、実に面白い。まるで良くできたファンタジー小説のように、現代と異質であり、かつリアルなのだ。兵営での暮らしの厳しさと滑稽さは、体験したものにしか書けないリアルさに満ち、かつ今日の暮らしとの懸絶が凄まじい。「兵隊は抑圧に満ちた内務生活よりも戦場に行くことを喜んだ」という記述など、本当に経験者でなければ書けないことである。
戦争を経験し多世代が、このような貴重な記録を書き残してくれたことに感謝したい。
なお、本書は1969年に刊行された同名の書籍の再刊である。文体・表現等、40年を経てなお清新であることにも驚かされる。