自然な関西アクセント 橋のない川 第一部 [DVD]
昔(1969年)の白黒映画でテーマがテーマだけに、非常に暗くて眠い映画と思いきや、意外にも素朴で明るい演出で、ストーリー的にも結構面白く、眠くなる事は無かった。何よりも良かったのは、古い映画に良くありがちな台詞の聴き取り難さが全くなかった事。音質の良さもさることながら、奈良を舞台にした登場人物たちの、実に自然な関西弁が違和感無く耳に響いた。先日ビデオ鑑賞した『蟹工船』の理解し難い東北弁の台詞との対照が際立った。勿論、私が生まれついての関西人であるせいでもあろう。
北林谷栄、長山藍子、伊藤雄之助、小沢昭一らの名演も素晴らしい。若き日の石立鉄男もあんちゃん役でチラッと出ているが、はまり役だった。子役らの演技もイイ。ただ女教師役の寺田路恵のセリフが、まるで舞台女優のようにやたらとハキハキし過ぎているのがやや違和感を感じた。
第1部だけ取り合えず観てみようかってつもりだったが、是非第2部も観てみたくなった。以前に観た東陽一監督のリメイク版より、良かったと思う。ただ、「○ッタ」や「○チガイ」等、放送禁止用語がバンバン出てくるので、地上波での放送は今後も無理であろう。尚、ラストシーンで急に画面がカラーになったのにはビックリした。
ネオリアリズム 橋のない川 第一部 [DVD]
モスクワ国際映画祭ソ連映画人連盟賞を獲得している、ネオリアリズム映画です。部落という理不尽な差別がテーマです。人間は性格、行動、能力で判断されるべきなのに非常に悲しいと言いますか、差別をされる側から描かれているので、その苦しさがダイレクトに伝わってくる社会派映画です。第一部と二部に分かれていますが、見るのであれば当然のことながら両方見た方がいいです。戦時中の神として存在した天皇の病と死ということを、通して部落も天皇さえも同じ人間という比喩に使われていますが、やや天皇が美化されており、どうなのでしょう、、もう少しその比喩を強くした方が良かったような気もします。ただ時代も時代で、その天皇の比喩を強くしたら上映されなかったかもしれません。僕としては最後の政治的な事実のナレーションはないほうが、もっと感情に訴えかける事ができたのではないか?もっと主人公を絞りその主人公の心情にフォーカスした方が、見る側の心を動かすことが出来たのではないか?感情移入ができたのではないか?と個人的には思います。ネオリアリズムなので全体を描くという手法なのでしょうけれど。。。
よくソフト化されたもの 橋のない川 第一部 [DVD]
この映画は上映を企画すると必ず上映阻止行動に出るグループがいて、なかなか上映の機会のない映画でした。したがってビデオソフトになることはまずないだろうと思っていたら、何と2部作全部DVDになり驚くのと同時にありがたいと思いました。
差別を助長するという人がいますが、それほどではないと私は思います。例によってちょっと突き放したような描き方はこの監督独自のもので、この映画だけのものではないからです。