演奏家ならではの感覚 疾風怒濤のクラシック案内 (アスキー新書 041)
この文章は彼が書いたのだろうか?語りおろしたのを,あるいはインタビューを誰かが文章化したのだろうか?とにかく文章は良く言えばわかり易く馴染みやすいが,格調の高さはあまりないです(笑)。
しかし,彼は演奏家なんですよね。文章表現で食べている人,例えば小説家がこんなユルイ文章を書いたらいけないが,世界で活躍した演奏家がいろいろ語るときには,文章はそこそこ(失礼)でも,その行間からあふれるものを読み取りたいと,読みながら思いました。オケマンの内輪話も面白いが,私たちはそれならもっと楽しく書ける書き手をたくさん知っているわけですから。
たとえば高校生の頃,ブルックナーに心打たれて毎日帰宅後帰宅後聴いた,おそらく200回以上,等と彼は普通に書く。しかし私たち凡人にはっそれは普通のことではないのですね。その集中,没入があってこそ彼は後年,演奏家として多くの人を魅了することができたんだろうな,と思うと胸打たれるものがあります。いろいろな作曲家への思い入れを語る場面もステキですよ。思いが伝わってきます。
なかなか楽しいクラシック再(?)入門 疾風怒濤のクラシック案内 (アスキー新書 041)
クラシック音楽をこれから聴こうという人にも、また、これまである程度聴いて来た
という人にも、楽しい案内となる一冊です。
著者の宮本氏はご存知オーボエ奏者。今はオーボエは卒業して指揮に専念しておられ
るようですが、そんな、現場でやってきた方ならではの楽しい&恐ろしい話がいろいろ
と聞けます。
第一部では7人の作曲家について、あれこれと裏話を交えて、聴くポイントを語って
くれます。私はこれまでマーラーを避けていましたが(というか、全然面白いと思いま
せんでしたが)、これを読んで、もうすこし聴こうかな、という気になりました。
第二部では、いろいろな作曲家について突っ込んだ話をしてくれます。
繰り返しになってしまいますが、どちらもプレーヤーならではの話が聞けます。
というわけで、これからクラシック音楽を聴いてみようという方々には、ちょっとお
すすめです。
さて、それじゃこの本は無条件でイチオシか、といわれるとちょっと躊躇してしまい
ます。とてもわかりやすいし楽しいのですが、(自称)クラシック音楽ファンとしては
どうももの足りません。それに、このような新書ものの常なのかもしれませんが、筆致
がとても柔らかい。というよりくだけた感じです。堅苦しくしないためだと思いますが、
ところどころで書き方がいい加減、という印象を受けました。また、一部と二部に分け
た意味もよくわかりません。縦書きの本に、横書きの脚注というのも、奇異な感じを受
けました。脚注を横書きにしたのは、出版社がコンピュータ関係だからでしょうか?
トータルとして、勝手な言い方で申し訳ありませんが、本の作り方がなんとなくゾン
ザイな印象を受けたような次第です(ごめんなさい)。
内容が貴重で楽しい話だけに、もうすこし練った作りにして欲しかったと思います。