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昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書) 秦 郁彦
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昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)


半藤 一利 秦 郁彦 平間 洋一 保阪 正康 黒野 耐 戸高 一成 戸部 良一 福田 和也

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日本型組織の破滅原因はいつも官僚主義と思考停止なのか        昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
私は特に軍事ものが好きなわけでも、特に詳しいというわけでもない。そのため、本書の読み始めの時点では、初耳の名前が出てきたり、色々と読み進めるのに困難な状況もあった。しかしながら、読み進めていくうちに、日本が戦争に突入し、戦い、そして負けた一連の流れと、特にバブル経済崩壊後の日本の政治、行政、経済の動きが酷似しているところが多くあると思い、ある意味、慄然としながら本書を読み進めた。
 日本の近代軍事組織は明治維新以降に海外の列強を真剣に模倣することで、急速に整備された。その過程で、軍部の下に幼年学校、士官学校、大学が整備され日本の富国強兵政策を強烈に推進しようとし、結果、その通りとなった。そして、日清、日露戦争で大勝利を納めその地位は確立され、世界にも有数の軍事力と評されるようになった。ここまでは良かったのだが、その後、日清、日露の成功体験に溺れた軍部は既存勢力となり、組織は硬直化し、官僚主義、学歴主義が蔓延し、陸軍内部、海軍内部、ひいては陸軍と海軍の対立を招き、最後には国益を損ね、明治維新以来培ってきた日本の伝統的軍事力を全て失うこととなった。本書を読むとその過程で起こった様々なできことが見せつけられるようだ。
 いつの時代も、エリート組織が自壊する過程では、派閥抗争が改革潰しを行い、良識を持った正当派は追いやられ、一部の無責任なエリート階層の指導部が勝手に暴走して全てをなし崩しにする。本書ではその過程が嫌というほど詳しく述べられている。

 日本の将来の道筋はどうあるべきか、またあらざるべきかを真剣に論じたいのであれば、本書を通じて、過去の教訓から学ぶべき点は驚くべきほど多いことが分かる。そして、今のこの日本の状況、太平洋戦争の末期の敗色濃厚な時期の日本によく似ていることも分かる。失われた15年の日本型組織と太平洋戦争末期の日本型組織の一大共通点は、恐らく思考停止ということであろう。
いつの時代も組織の欠点は同じ        昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
陸軍にも海軍にも優秀な指導者はいた。
陸軍の永田鉄山・栗林忠道や(異論はあるが)石原莞爾等、海軍の山本五十六・井上成美や米内光政等。
彼らが全うにその知識経験を活かし活躍することができたならば、昭和の歴史も大きく変わっていただろう。
しかし、そうはいかなかった。
同じ軍隊であっても陸軍と海軍の縄張り意識や世界観に対する認識の違いが大きく、全く両軍は意思疎通ができていなかったこと。
陸海軍の中でも、国家の為ではなく自らの組織のために動いてしまう官僚的な組織。
出る杭は打ってしまう悪しき慣習、等々。
よく考えてみれば、今の日本のお役所と同じ状況である。

東条英機も官僚としては一流だが、指導者としては三流なんだな。
今の政治家でも官僚上がりはいま一つ指導者としてはダメな状況である。
結局、敗戦という大きな犠牲を被っても日本という国の上層部の本質は変わらないということを改めて認識できる本でした。
「軍国主義」と「帝国軍人」        昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
戦前は軍国主義の時代であり、軍人は軍国主義者、だから失敗したというなら話は簡単で、ある意味安心なのですが、この本は、もっと普遍的な問題を指摘しています。

「派閥抗争」や「エリート主義」「前例主義」「点数主義」などです。

軍隊内部の問題だけが、敗戦の原因ではないと思いますが、この本を読めば、帝国軍人に対する印象が変わるのではないでしょうか。
経営者は読むべし        昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
新味はないが人事の破綻が組織を壊すという実例だ。経営者は必読だろう。大半の官庁、企業など日本型組織の多くは、残念ながら同じ病に冒されている。声の大きな者や毛並み・学歴・経歴の良い者、利己主義者ども、上に媚び徒党を組む者が組織を牛耳り、保身に徹し人事を私するようになれば、組織は硬直し戦略は破綻し、行き着く先は必ず日本軍のような玉砕の道だろう。こうした警世の書はたくさん出てはいるが、いまだ直らないのはなぜなのか。日本人の性なのだとすれば情けない。事実、科学技術界では有能な人材は欧米に流出している。あなたの隣にも、辻政信や牟田口廉也、東條英機はいるかも。対談形式で読みやすいが、福田和也がいるのはなぜか。違和感を覚える。
特に海軍について        昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
いいメンバーを揃えた対談。まず「半藤一利著」となっているが8人の対談である。
基本は半藤・保阪の自説に他の人がツッコミを入れていくという雰囲気で、対談ゆえに個別のテーマについて深く掘り下げないが、8人の話者は世代もバラバラなので、揃って「軍部憎し」と感情的になることもなく、是々非々で物事を考えようとすることができている。
とくに海軍が抱えた予算、人事などの様々な問題は参考になったし、当事者意識の欠けた(というより当事者意識の高い人間が中枢にいなかった)海軍の罪はよりオープンに問われるべきである。開明派と言われる米内や山本についても、比較的若い世代は彼らの失敗や限界も含めて論じている姿勢は評価できる。
日露戦争で東郷平八郎が世界史的な英雄になったがために、艦隊派に組する東郷に誰も意見することはできなかった。これが海軍の一つの桎梏となる。かつて大成功を収めた先輩が、環境の変化とともに頑迷な老人となりながらも発言力は強いため、老害として組織を停滞させる。こういう光景は今でもあらゆる場面でみられる。本書で気になったテーマについて、話者のそれぞれの著作を読み比べるのもいいだろう。

昭和史の謎を追う〈上〉 (文春文庫) 秦 郁彦
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昭和史の謎を追う〈上〉 (文春文庫)


秦 郁彦

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激動の戦前・戦中        昭和史の謎を追う〈上〉 (文春文庫)
 著者は難しい表現を極力省き、誰にでも分かるように注意しているのだが、それでも何も知識がない人が読んだら、ちょっと難しいのではないかと思った。しかし、法学博士でもある著者だからであろう、私情を挟まずに理路整然と解説している姿勢には拍手を贈りたい。
 通史ではないので、歴史の流れを捉えるには足りないが、昭和史の知識を少しでもお持ちの読者なら、断片をつなぎ合わせる楽しみはあるだろうし、なるほどとうなずく場面も多々あるはずだ。
 ほとんど新説はないが、昭和史を再考する上では大変貴重な論集だと思う。
 残念だったのは、何も知識がない人のために各章のはじめに事件の解説やどんな事件だったのかを少しでもあげてくれると助かると思った。しかし、膨大な数の参考文献が巻末に表記されているので、本書を読んで昭和史に興味を持ったのならば、これらの読破にチャレンジしてみても良いかも知れない。
歴史ではなくノンフィクションとして読んでみたら?        昭和史の謎を追う〈上〉 (文春文庫)
大学の先生が書いている本ですが、とても面白い本です。
昭和史の節目に起きた事件の解説なのですが、ひとつひとつ謎解きがあり、ディテールが細かいので、読んでいる内に引き込まれてしまいます。

昭和史というと、暗く陰惨なイメージがあるので人気がないと思うのですが、自分のいる国のちょっと昔のことなのですから、もっと興味をもってもいいのではないでしょうか。
この本は、1話1事件の形式をとっているので、ノンフィクションかミステリー小説を読むような感覚で昭和史に触れることができます。

ただ、内容的に新発見のようなものはないので、タイトルから新たな新事実を期待して買うと肩透かしかもしれません。
また、著者の秦先生はこれまで、第2次大戦や教科書問題などを扱ったものが多いので、戦後の事件についてこれほど詳しく書かれているのが意外でした。(松川事件、帝銀事件など)

昭和は血の香りがする。        昭和史の謎を追う〈上〉 (文春文庫)
   昭和と血は不可分のような気がする。昭和のはじめから、戦争により、多くの人間の血が流され、時代の終わりには天皇陛下の出血の量が毎日のように報道された。本書では、著者による、他の著作でも見られるような、丁寧で、悪く言うと無味乾燥な歴史検証の一端が見られる。昭和史の中から、様々な出来事を取り上げ、歴史書の本流に埋まっていたものに焦点を当てている。
   署名にあるように「謎」を追ってはいるが、小論集という形態上、詳細とまではいえない検証結果を残念に思う。

二十世紀日本の戦争 (文春新書) 秦 郁彦
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二十世紀日本の戦争 (文春新書)


阿川 弘之 中西 輝政 福田 和也 猪瀬 直樹 秦 郁彦

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戦争は不可避,必然的に起こることは,歴史が証明している!?        二十世紀日本の戦争 (文春新書)
戦争は,様々な要因が絡み合って不可避であること、それを論証したような書籍だが,本当に戦争は「起こってしまった」のであろうか。戦争を非難するのは簡単だ,戦争の後からはいくらでも言える,というのは反面の事実だ。しかし,戦争は「必然的に起こった」といわれれば,それは違うように感じられる。
 戦争は人間が自ら引き起こしているのであって,天災のように自然発生するものではないだろう。戦争が人災であるとすれば,とめることができた,被害を小さくすることができたはずだ。歴史の大河,流れを強調することで,人間の果たしてきた主体的な役割を過小評価しているように思われる。
 戦争はやむをえず起こる必要悪であり,常に戦争への備えが必要だというのであろうか。危険な敵は,力をつけないうちに,叩いておけというのであろうか。
 有名作家の手になる考えさせられる一冊ではあるが,内容的には賛同できない点が多々あった。
戦争がえぐりだす日本人の姿        二十世紀日本の戦争 (文春新書)
本書は「戦争」を切り口に、近代日本が関わってきた戦争の成功と失敗を振り返るとともに、日本の指導者がいかなる精神構造を持ち、開戦・終戦といった重大な局面においてどのような決断・行動をしてきたのかを冷静に掘り下げている。またそこから、今日にもつながる日本人の特有の性質は何かを探ろうと試みている。
「戦争」という非常に重いテーマであるにも関わらず、5人の論客の対談という形で展開されているのでテンポも良く、日本史に詳しくない人でも一気に読むことができる。
私が特に印象に残ったところは、日本が真珠湾攻撃により太平洋戦争に突入した時、日本の中に一種の「爽快感」があったという記述。黒船来航以来、欧米列強に常に翻弄されてきた経緯の中で、ついに列強の大国アメリカに一矢を報いたことで、何かすっきりしたという開放感があったという。そこで論客たちが問題とするのは、一般大衆のみならず、軍の上層部や知識人などいわゆるエリート層にも同様の感覚があったこと。この思慮の浅さが、結果として悲惨な結末をもたらしたとみている。
ここで論客の一人である京都大学の中西輝政教授が、古代ローマ時代、ローマ帝国の挑発に耐え切れずに爆発し滅亡したカルタゴの例を引用し、次のように発言する。
「物事が宙ぶらりんでどっちにも決まらない状態が延々と続くことが、人間の魂をいちばん参らせてしまう。そして宙ぶらりんの状態がどちらかに決したときに、大変な気持ちよさがそこにともなう。(中略)イギリスのエリートたちは物事がどちらにも決まらない気持ち悪さに延々と耐えなければならない、という教育をされている。残念なことに日本にはそういうエリート文化がなかったし、いまだにない。」
このような視点は、現代の日本を考えるとき貴重な視座となるのではないかと思う。
それぞれの視点        二十世紀日本の戦争 (文春新書)
阿川弘之、中西輝政、福田和也、猪瀬直樹、秦郁彦の五名による討論なので、一つの問題を深く掘り下げていくことは無い。しかし、日本が関わった戦争をどのように捉えるかと言う点において、五名それぞれの視点が披瀝されているので非常に参考になる。「戦争反対」を叫ぶだけで、戦争そのものについて何も考えてこなかった人たちへの戦争入門書とも言える著作である。
論者の立場は違うとしても、かみ合った議論がされている。        二十世紀日本の戦争 (文春新書)
 この種の対談集は、議論がかみ合わないまま、それぞれが、持論を述べておしまいということが多いが、最期まで議論がかみ合っている。
 これは、戦争を賛美したり、肯定したりしないまでも、人類の歴史の中で戦争は不可避であり、東京裁判史観のように後から、断罪するような手法をとっていないからだと思う。
 日露戦争にいたる原因は、その前の日清戦争も含め、当時のアジアにおける欧米やロシアの侵略と日本に地政学上での対応の必要にあったことを明らかにし、単純に日本がアジアで唯一の先進国として侵略戦争、植民地レースに参加したものではないことを示してくれている。
 日本が、もし自制して何もしていなければ、日本は、今のように卑屈な「謝罪外交」「自虐史観」に支配されなかったかもしれないが、「日本」という国が存在しえたかは又、別であろう。
 戦争を賛美するものではないが、戦争は歴史の中で不可避であること、その際の対応を後付けの理屈で非難するのではなく、その時点での周辺の情勢との関係で論じるべきだという視点を見事に提供してくれている。この本の視点で、様々な歴史の本を再点検すると面白いと思う。
戦前から戦後を考える        二十世紀日本の戦争 (文春新書)
20世紀の百年は日本にとって今までになかった百年だったという事が良くわかった.
満州事変から太平洋戦争に至る道の中で日本の破局を避ける術はなかったのか.そこにこの座談会の主題があったと思う.
石橋湛山の小日本主義に対する福田氏の反論が良かった.
あえて不満を言うなら阿川氏の海軍での話がもっと読みたかった.

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