新聞記者のポリーはいきつけの喫茶店で不思議な老人と出会います。その老人とはいつも未解決の事件に関する話となり、老人が見事な推理を披露するという構図になっています。
この老人を安楽椅子探偵といっていいかどうかは微妙なところであり、むしろポリーは事件の細かい部分を覚えていないことの方が多いので老人の語りを聴いて頭を働かせる彼女や読者が安楽椅子探偵の立場でしょう。
老人の推理も絶対にそれしかないと言えるような物でもないので(裁判も終わっているので確かめようがない)、ある事象にもっともらしい説明をつけるという意味ではブラウン神父に似ているかもしれません。
この短編集の最後にはなかなか凝った結末も用意されているので読む価値は充分にあります。
実際に裁判などに出向くなど、自分なりの調査を行っている「老人」に、安楽椅子探偵という言葉が適切かどうかは曖昧なところですが、100年程度も前の作品を集めたものだというのに、現代と比べたときに道具立てが殆ど変化していないのに驚かされます。老人の語りにも魅力的なものを感じますが、原文のニュアンスを活かして日本語に訳するのは難しいのでしょうね。