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クチコミオススメ平均: ![]() 帰還兵(人間)は、何故寡黙か? 戦争絶滅へ、人間復活へ―93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版 1140)
■ 【20年の労作です 】
(秋田県)横手市で週刊「たいまつ」(新聞)が、(凡そ30 年前の)1978年に休刊して、10年後の’89年に(仮称) 「21世紀への手紙」なるタイトルの執筆依頼が(坂巻編 集者より)あったという。構想はするものの、視力などの 体調を崩すことなどアクシデントに見舞われる。しかし、’ 98年に黒岩さんの取材を受け、ようやく今年(’08年)、 刊行の陽の目を見た。20年の労作は、僅か200ページ 余り。よわい93歳の叡智の缶詰です。 ■ 【大東亜戦争の報道反省と人間復活 】 章立ては、10章に分かれていますが、’45年の敗戦を境 に、それ以前の新聞記者時代と、その後の著者の信念 の吐露とに大別されます。 ■ 【戦場の狂気 】 前篇の圧巻は、戦場での兵隊(男性)の有様です。戦争 体験者は、時には武勇伝こそ話しますが、得てして寡黙 で、戦場の全体像は幻だ。しかも、多くがそのまま鬼籍 に入って行っている。戦場の様子を、赤裸々に極めて具 体的に著わした本(本書)に出会うのは、初めてである。 戦場での殺人、略奪、放火、偽善、レイプなどが、何故 平然か?人間は、生殺の戦場に三日いれば、狂気を狂 気で無くなる様が描かれている。そして帰還した男性 は、妻子には体験したことを話など出来る訳がないと。 ■ 【先ず、国境を無くそう 】 後半は、著書のタイトル「戦争絶滅と人間復活」の為の ガイドである。被爆国として、又、戦争絶滅の理念を憲法 九条に持つものとして、EUの様に、国境を無いが同然 としようと叫ぶ。戦争と言う人工的な消費を惹き起す欲 深集団を生み出す資本主義にノーと言い、跪かせられ た社会主義に『戦争を是認』したからと、苦言を呈してい る。自らの欲望との戦いが、人類全体の滅亡(と言う自 殺行為)に深く係わっていることを訴えて止まない。 孤高のジャーナリストとともに時代に希望をみよう 戦争絶滅へ、人間復活へ―93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版 1140)
むのたけじさんといえば、孤高のジャーナリストというイメージが強い。小生の頭に浮かぶのは、戦後、朝日新聞を自ら辞して秋田県横手で週刊新聞「たいまつ」を発刊し、権力にとらわれない情報と主張を発信し続けた、という姿である。そこには、少なくともふたつ、不正確なところがあった。朝日新聞社を辞したのは「戦後」ではなかった、と本書で知った。8月14日のことだったという。あとひとつは、「たいまつ」の刊行は一九四八年から一九七八年とのことだから、「たいまつ」時代は、むのさんの人生の中間の三分の一=三〇年間にすぎず(十分長いが)、休刊してからも三〇年が過ぎているのである。
さて、本書は、九三歳のむのさんがその人生を振り返り、どのようにしてジャーナリストになり、戦前戦後を生きてきたか、それをその時々の社会の動きとの関連で振り返り、未来に向けて何が大切かを語った書である。 上記の小生のむのイメージは、まことに貧弱で、本書で語られるむのさんの生き様は、まことに豊かでドラマチックで一般人の生きる上での示唆にも富んでいる。志は、老いても衰えることなく高きをめざす。孤高のジャーナリストには、えてして誇り高いところが目について、近寄りがたさを感じてしまうことが多いのだが、それは思ったほどでない。最後の方で、毛沢東やレーニンを斬るほどに手厳しく評したり、憲法九条の意味について時空を越えて考え、戦争の廃絶を自信を持って語るが、その反面で、むのさんは、この本をすらすら読み進めてしまうのではなく、曲がり角や要所で立ち止まって、むのは三丁目にいったが私なら一丁目に行く、という風に、むのを叩いてほしい、といっている。庶民とともに学ぼうとする姿勢である。「絶望のなかに希望はある」は、第六章のタイトルであるが、小生の場合、本書を読んだあとに、そのことがいちばん強く心に残ったのである。 むのさんの人間像をうまく引き出してくれた「聞き手」の黒岩さんの努力にも感謝したい。 絶望のなかから希望を探し出す 戦争絶滅へ、人間復活へ―93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版 1140)
40年以上前に「雪と足と」を読んだ時以来、著者むのたけじの名は私の心の底に残っていた。新聞人としての戦争責任を痛感して敗戦後間もなく雪深い東北に去って週刊の個人新聞「たいまつ」を発行し続けた数少ない日本の良心である。その、むの氏が今や齢93を迎えてなお健在であることを知るのは喜ばしい。むの氏本人もこれまでに何回か「故人」と書かれたと言うらしいが「たいまつ」は1978年まで30年にわたって刊行され、その後も何冊かの著書が出されている。しかし、氏の本領は「草の根」の活動で発揮されており、講演の回数は3千数百回に及んでいるという。このことは裏を返せば、あらゆるミニコミを埋没させて世間の目を覆い隠す一握りのマスコミの絶大な影響力を示すものと言ってよいだろう。
むの氏は聞き手に対して「戦前と戦中のことをあまり書く必要はない、昔話をしてもしかたがない」と言ったというが、本題に至るまでの3章、とりわけ第2章の「従軍記者としての戦争体験」が読者を引きつける。それは「これまで本でも講演でもあまりいわなかった」戦場の狂気の描写にほかならない。兵士ばかりでなく同行した従軍「文化人」が「本当の戦争とはどういうものか」について何も言わない事情もここに説き明かされている。 本題とは「日本の未来」である。その内容は第5章と第6章の標題「憲法九条と日本人」と「核兵器のない世界」によって示される。むの氏はいまでも「毛沢東を愛し、レーニンに引かれている」と公言する。また、敗戦によって「日本の社会はめちゃくちゃにこわれた」とすることの中には家族制度へのノスタルジアが感じられる。もともと未来を、説得的に、構想することも予測することも難事中の難事である。ましてやこのような立場からではなおさらである。しかし、最後の第7章「絶望のなかに希望はある」の中で描かれる高校生、中学生、小学生のすぐれた人間性は感動的である。本書はこれだけの為にでも手にする価値がある。 愚直なまでのメッセージ 戦争絶滅へ、人間復活へ―93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版 1140)
むのたけじは、敗戦の日に戦争責任を取る形で朝日新聞社を去った。
だが彼は今それを悔いている。「残って、本当の戦争、を伝え直すべきだった」と。 戦後60年以上がたち、「あの戦争」が見直されている。 そのこと自体はけっこうなことだが、「あの戦争は間違ってなかった」というベクトルが見え隠れする。 そして、たとえば単純に「反戦平和」を語ると、現代の価値観の中であの戦争の是非を語ったり 批判するのはナンセンスだという反論さえ受ける。 果たしてそうだろうか……と私は思う。 むのたけじは、従軍記者体験などを経て今年、92歳になる。 まさに「戦争の世紀」を生きてきた。その彼が愚直に「反戦」「戦争絶滅」を語る。 世界情勢を見る場合、それはまるでピエロのようでさえある。 だがそれでも彼は「核兵器のない世界」の実現のために発言を続ける。 それは「夢想」などではない。 もし国際連合が本物なら、ここ5、6年で核兵器を全部使えないようにしよう、 10年かかっても廃棄しよう、ということをやってくれるかもしれない。 だから私は、その匂いをかぐところまでは、どうしても生きなければならないと思っているんです。 (本文より) むのたけじは、闇雲に反戦を叫んでいるわけではない。 グローバルな視点から、どうすれば戦争が無くなるかを考え続ける。 ときに悩みながら、その視線は揺らぐことはない。 「聞き書き」という形をとっているため、読みやすく構成されている。 これは彼独特のものだが、「ヒステリックさ」はまったくない。 憲法も、社会主義崩壊も……淡々と語る姿勢は無骨なジャーナリストの姿でもある。
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クチコミオススメ平均: ![]() 興味深い時期だが・・・ 日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書
日露戦争後、いろいろなことがあり、
のちの日本に多くの影響を与えたように感じる。 だから本書の扱う時期は、実に興味深い。 本書を読み進むと、東京朝日と池辺三山、 対外硬と東亜同文会など、多彩な人々が登場する。 だが、やや多彩にすぎる。 桂の愛妾お鯉にいたっては、脱線に近い。 いや脱線ではなく、著者は確たる視点をもたずに この時期を眺めているらしい。 道理で話の流れが、週刊誌かなにかのように 薄く、浅い。 広い視野の代償にしては、あまりにもったいない仕上がりだ。 いつの時代も「思考停止」で踊らされる 日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書
「祖国防衛戦争」だった「日露戦争」のぎりぎりの勝利?(勝利か?あれからまだ満洲の地で陸上戦があったらどうなっていたのか?)に
沸く日本人とそれをあおる「マスコミ」。一部の「学識者」(どんな学識やら)。 どの国の人間にも自分の頭で考えない「思考停止」人間は多いものだが、特に日本人は「寄らば大樹のかげ」「赤信号みんなで渡れば怖くない」の傾向が強いと思う。 昨今の状況を見ても同じ。誰かが言った事に自分の「脳みそ」で考えずに、踊らされる。あげくに馬鹿を見るのは結局当人達。 大きな書店に行く度に、なんでこんな本が?と思うものが平積みされている。 まともに読んでいるのか?ちゃんと自分の「大脳」で考えていますか?いつの時代でもお上のやる事は信じちゃだめだよ。 と言っても誰も聞かないものねー。そんな人は読まない本ですね。 某有名大学を出た頭脳明晰な友人でも、自分の博識に自信を持っているのか、お上のやる事を信じている。 あー、100年前と同じだー。 マスコミの姿勢は相変わらず 日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書
昔から日本に害悪しか与えていない存在に「マスコミ」と「外務省」がある。
この日露戦争のあたりでは外務省は、まだまともだったのだが当時からマスコミは ろくな存在ではなかったことがわかる本。 国家はその戦略から機密も持つだろうし、うそをつかざるを得ない時もあるだろう。 マスコミは自分達が知識人だと勘違いして誤った思想を国民に垂れ流すという罪を 生まれた時から現在までずーっと続けて、しかも反省もしない。 まあ、その間違った言説にのってしまう国民も悪いといえば悪い。 それでもこの時期のマスコミは弾圧に負けず政府の陰の部分を必死で暴き出そうとしている 姿勢は今のマスコミに比べれば100倍ましなのだが。 またこの本に出てくる講話条約発表後の暴動が政府にしくまれたガス抜きだったのでは という意見は大変興味深い。政府にせよマスコミにせよ大きな存在に踊らされずに 生きていくというのは実に大変な作業である。 当時の社会情勢・風潮を鮮やかに描く 日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書
「勝利のあとの誤算」と言うよりも、当時の社会情勢・風潮を本書は鮮やかに描き出している思う。講和条約反対から一転して凱旋に湧く一方、捕虜に対して冷たい視線を送る世論、発行停止処分を受け変遷していく新聞の論調、緻密な計画性の見える焼き討ち、などである。国益を第一に考え、忠実に任務を遂行していった小村寿太郎に対し、保身に長け、世論操作の術も知っている桂太郎らの人物描写も興味深い。明治天皇が崩御した1912年までのことが本書に書かれているが、まさに日露戦争は明治の終わりの始まりだったのだろう。
日露戦争から学ぶことは多い 日露戦争 ―勝利のあとの誤算 文春新書
戦争を始めるのはいともたやすいが、終わらせるのは大変な苦労があるし、その後の処理は重要である。
一般に日露戦争の戦後はあまり評判がよくない。合理的な戦訓の分析がなされず、おごり高ぶった軍部と国民は第二次大戦の破綻まで突き進んだ、とされることが多い。 本書は日露戦争後のおごり高ぶりについて、論客や新聞、雑誌などについて具体的に読み物的に示し教訓を示してくれる。 特にマスコミと政治の関係については、今日の我々も学ぶところが多い。
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